勝毎「フレッシュな君へ~とかち次世代への手紙」掲載

9月18日の十勝毎日新聞「フレッシュな君へ~とかち次世代への手紙」という特集の第5弾として、当社執行役員の佐藤が掲載されました。

!!!こんな方に読んで欲しいです!!!
★ 人生軸をどう考えていけばいいのか分からない
★ 今後のキャリア形成に悩んでいる
★ 大企業かベンチャー(もしくは中小企業)かで悩んでいる
★ 地方創生やUIJターンに興味がある

佐藤の歩んできたキャリアと、その時々の思考が分かりやすくまとめられていますので、
ぜひご一読ください🍀

以下、記事の内容を転載しております。

社会人駆け出しのころは悩みや不安がつきものだ。働くとは、やりがいとは、地域と共に生きるとは。連載「フレッシュな君へ とかち次世代への手紙」では地域で働く若者へ十勝で活躍する企業の経営幹部からメッセージをもらった。第5回は、農畜産資材を製造・販売する菱中産業の執行役員、佐藤浩一さん。

■若いころから人生設計
 学生時代に見た映画「ウォール街」に憧れて金融の世界に入り、早くから人生設計全体を意識していました。外資系金融機関にいたころは、会社に午前6時から深夜2時までいることも珍しくなかった。プロになるための知識や経験を得る時間と考えていたので、肉体的にはつらくても心は満たされていました。

 それを基礎に30代で圧倒的な成果を出し、40代でその成果を背景に自分がやりたい仕事にコミットし、いかに主体的に取り組んでいけるか。会社員人生の仕上げとなる50代は利益ばかりは考えず、さらにやりたいことを追求する。こう考えてきました。

 働く意識で一つ変化が起きたのは、30代手前でのロンドン勤務でした。会社の顧客だった米大手投資銀行の哲学である「顧客の利益が常に最優先」が響きました。日本で言う「お客様は神様」の感覚とはかなり違っていて、顧客は同じ人間であり、相手を知り、見えないニーズをあぶりだし、応えて信頼を得て対等なパートナーになる。顧客の表面的な口ぶりではなく、本当に欲していることを逆に指摘できるのが、プロフェッショナルの基本という考えです。

■Long Term Greedy
 もう一つは、「Long Term Greedy(長期的な貪欲さであれ」です。投資銀行は目先のディールをまとめないとコミッション(収入)が入りませんが、本当に顧客のためになるディールになるよう機が熟するのを待つことも、長期的には自らに利益をもたらすという意味が込められています。利他の精神ですね。

 今は畜産・酪農家さんと向き合っています。以前は国内で知る範囲の課題解決法や商品を提案しがちでしたが、「人にも牛にも生態系にも良い」という理念の下、海外の課題先進地に出向き、顧客から聞き出した悩みを考えながら、製品やサービスを探し出し、提供しています。

 海外のメーカーの工場で商品を直接見て、他の商品と比較して、本当に顧客に適切か、価格も含めて精査します。持てる情報量は飛躍的に増えて、各農家さんに合わせて幅のある提案ができるようになりました。すぐに商売にならなくても、骨を折ってくれるな、と信頼関係が築かれ、遠回りでも将来の取引につながる。仲間を増やすことが大切なんですね。

■地方では成長しないと未来描けず
 人にとって働く環境はとても大切です。学生時代の友人にたまたま十勝に連れてきてもらい、英国の馬の産地の風景が記憶からよみがえり、ここに住んで働きたいと移住しました。

 最初の働く場として大企業かベンチャーか、どちらがいいのかと学生さんによく聞かれます。20代だと給与はあまり変わらないか、むしろベンチャーの方が好待遇でしょう。

 首都圏の大企業ではその部署でしか通用しないスキルの吸収に膨大な時間がかかり、転職しても、さまざまな場面で応用が効くスキルを得るのは難しいかもしれません。

 地方の中小企業での仕事はベンチャー感覚です。初めて直面すること、やるべきことがどんどん出てきて、何でもやらないといけない。いい年になっても成長できます。成長し続けないと未来が描けないですが、それはビジネスの多様な場面に生かせるスキルの獲得につながっていきます。

 私は畜産・酪農の知識がゼロだったので、対等なパートナーになって共通の言語で人、牛、経営を語り、本当にニーズを引き出すのには苦労してきました。当初は毎週末、帯広畜産大の図書館に通いました。そのうち獣医師の友人などプロとつながれるようになり、海外の業者ともファーストネームで呼び合える仲間ができました。

 社外の同期のような仕事の垣根を越えた友人を作ることは、助け合えますし、豊かな人生を演出する上でとても大事です。20代のころに意識できていたら、今よりさらに豊かな仕事、人生になっていたかもしれません。

 今は世界的に時代の大きな転換点にきている。高度成長、たくさんの稼ぎと消費、物質的な豊かさの発想から、低成長でもいかに多くの人が豊かな生活を送れるかに移り変わっています。人、動物、生態系の3つの健康が保てないと、人間は成長どころか、生存できなくなるかもしれない。これからの豊かさをどう体現していくか、若い人たちにこそ考えてもらいたいですね。

<オススメ本>
「不都合な真実」(アル・ゴア著)
 元米副大統領による地球温暖化に対する警世の書。15年前に世に出た本は、これまで何度も読み、その度に人類によってなされていないことの多さに驚愕しています。事態の悪化はこれまでより、これからの15年の方が加速する。我々が本当に未来へバトンをつなげるのかと強い危機感を覚えます。